2005年01月17日
新型ゴミ箱の研究

倭国のトランメルブリテインに何やら奇妙な研究に打ち込んでいるらしき錬金術師の姿がありました。

新型ゴミ箱の研究

トランメルブリテインにある四大酒場のひとつユニコーンホーン亭。倭国のこの酒場は古くから市民に親しまれてきた高級酒場だ。その証拠に酒場の奥にはVIP専用の個室なんてものもあるんだが、今回私は手前の一般市民用の席に座り友人と待ち合わせをしていた。でも地理に弱い友人は随分とブリテイン市内を彷徨っているらしく一向に姿が見えない。そんな中、ひとりの男が冒険者を引き連れて酒場へ入ってきた。

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男は酒場に入るなり、盛況の酒場を見回した。いつもそこそこの客で賑わっている酒場ではあるが今晩はこの男が依頼を募集している為、日頃は見ない顔ぶれも集まってきていたようだ。

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な、なんじゃこの数は
ひー、ふー、みー
・・・・まぁいっぱいじゃな
まぁ良い、みんなわしの声が聞こえるかの?

男も予想以上に冒険者が集まったことに驚きを隠せずにいた。最近は職にあり付けずいる冒険者が数多いのだろう。それでいて金には困っていない身なりをしているから不思議なものだ。

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もう一度説明するぞぃ
わしはこう見えても錬金術師での
ひょんなことからスライムの溶解力に目をつけ
箱や樽に住まわせて家庭でのゴミ処理に一役
かって貰おうかと実験を繰り返してきたんじゃが
溶解力を高めた段階でその個体に逃げられての?

八方手を尽くしたんじゃが生息地はつかめたもの
のもうわしの手にはおえんのじゃ

そこで熟練の冒険者の方々にの手を貸してもらおう
と声を掛けたわけじゃ

手を貸してくれるかの?

確かに名乗る通り錬金術師らしい。
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The Admirable Maurice Grandmaster Alchemist

酒場にいる冒険者へ今回の依頼を口にしたモーリスだが、冒険者たちは慎重だった。口々に質問していき依頼の全容を把握しようとする。

Michaella: それって危険なのでは?

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少しの・・・

Michaella: 溶解力が強いって
Michaella: どんなぐらいな感じですか?
Gaia: 触ったらすっぽんぽん

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そうじゃのぉ・・・そこまではいかんじゃろう
ただ普通のスライムよりは強いじゃろうな

Shizuku: 捕獲はどの様に?

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おお、それじゃがの
わしは今回の失敗で現段階では
実現には遠いという事がよーくわかった
スライムには悪いんじゃが
一思いに倒してやってくれんかの

Shizuku: 話せば分からないかな・・・

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スライムと話せるのかの?

Shizuku: おうよ!
Shizuku: やってやれないことはない
Michaella: 気合かしら

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もしそれが可能なら越した事はないんじゃがの
試してやってくれんかの

一部の調教師たちは、やはり自分たちの力で調教したいようだ。
しかし、そんなにうまく行くのか疑問ではあるな。

Shizuku: 報酬はないのかな?
irorin: 酒飲み放題
Gaia: バナナ食い放題
Siel: 苦くないポーションをくれ!

思い思いに報酬を口にする冒険者たちだったが、モーリスは私の出した提案に眉をひそめた。

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無理じゃの

Siel: うう…

即却下される私の提案。
更には年配錬金術師としてこっぴどく説教される羽目となる。

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苦い薬を飲むのがいやなら
病気にならなければいいんじゃ
それだけ健康に気を使うよう
昔からの戒めじゃ

拳に力を込めて私を諭すモーリス。
肝心の報酬はそっちのけだ。

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おお、そうじゃったな
うむ、それは心得てある
報酬の件はわしの実験費である
金貨やらなんやらしこたま抱えたまま
逃走おったから倒す事が出来れば
それらを手に出来るじゃろう
(溶けてなければじゃが

irorin: 消化されてないかそれ

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お主もそうおもうかの?

Michaella: あの、それで
Michaella: スライムがいそうな心当たりは?

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場所はのダスタードと呼ばれるダンジョンの近くじゃ
幸いトランメル世界だがの

Feena: あの沼でふか。。。

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いや沼じゃないぞい
ではそろそろ行くとしようかの?
誰かダンジョンの入り口まで
魔法の扉を開けるものはおらんかの

こうしてあるかないかも判らぬ報酬を提示されたまま、冒険者たちは大陸最大の竜族の巣窟デスタードへと赴く事となった。デスタードへゲートトラベルの呪文を利用して向かうと、モーリスは山添いに歩き出す。

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そろそろじゃな
ここらに洞窟があったはずじゃが

目的地はデスタードから程近くにある洞窟だった。
採掘師くらいしか立ち寄る事はないであろう小さな洞窟だ。

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洞窟内に足を踏み入れると地面からジワリと半透明のスライムが出てきた。それも二匹もだ。突然姿を現したスライムに驚いたのか、冒険者たちは慌てて剣を取り振り回した。

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ところがこのスライム恐ろしく強い。魔法は悉くブヨブヨした表面で打ち返されてしまうし、もの凄い速度で洞窟を滑り進む。幾ら大人数でもこんな速い相手を捕まえるなんて到底無理な話だ。

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おぉ、また成長しおった・・・
おかしいの、こんなに凶暴ではなかったぞぃ・・・
説得できるかの?

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如何に冒険者たちが先程まで酒場にいた飲んだくれとはいえ明らかに強いスライム。ナイトメアも轟沈している。

Shizuku: じっちゃん
Shizuku: 変った色とかしてなかったん?

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最初は普通のスライムじゃったぞぃ
洗面器ですくって捕獲したんじゃ

Shizuku: 実験後は?

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色々とポーションも飲ませたからのぉ

そうこうする間にスライムも間断無く攻撃を加える冒険者らによってただのゲル状の物体へと姿を変えていった。モーリスはかつてスライムだった物に歩み寄ると鍋を取り出す。

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この釜にははいらんようじゃの
一部分でも埋葬してやらんとの・・・

モーリスは鍋にスライムに死骸を入れると冒険者らに向き直った。

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やな思いさせたのぉ
さっきの酒場にもどるかの・・・

こうしてモーリスと冒険者たちは帰路につく。
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ユニコーンホーン亭へ戻った一行だったが、モーリスは協力してくれた冒険者へひとりずつ酒を渡していった。せめてもの感謝の気持ちという事なのだろう。私もワインをグビグビと飲み干した。

irorin: じーさん、あれ失敗作だ

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そうじゃの・・・

irorin: したいもとかせないじゃないか
irorin: ほんとになんでもとけるのか?

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もっと溶かせるようにせんといかんかの
一般ゴミ用だからのぉ
まぁしばらくはこりごりじゃて

Shizuku: スライムには可哀相なことしたな・・・

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そうじゃのぉ

Michaella: でもよく洗面器で捕まえられたわね

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最初は小さかったからのぉ

こうしてスライムを偲び酒を酌み交わす冒険者たち。そんな中ひとりチビチビとやっていた私の隣へモーリスがドッカと座った。

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のんどるか?

そういうと私に追加の酒を手渡すモーリス。
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これ・・・酒に見えない。
でも折角貰ったものだからというので一気にあおる私。
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突然身体がブルブル震え出し舌がビリビリッ!
苦ぁーーーーーいっ!

Gaia: 組長、何か違うのを・・・
Siel: 緑色のポーションもらった・・・

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これだけ飲めば弔いにもなるじゃろうて
ああそれは割って飲まぬと毒になるぞぃ

Siel: 先にいってくれ! *しくしく*

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すまんの*笑*

そんな私の惨状を見て遅れて注意を促すモーリス。どうやら報酬の際に苦くないポーションを注文した事を未だに根に持っていると見えるわい。

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ふう、次は火エレメンタルを使った
暖房器具でも開発するかのぉ・・・

またまたとんでもない事を口走るモーリスだったが、冒険者たちから必死に止められ残念そう。

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まぁ今日はこの辺で帰るとするかの
みなすまんかったの
何かあったらまた頼むぞぃ

それではの

こうして錬金術には程遠いような研究を続けるモーリスは酒場を後にしていった。もっと地味で迷惑のない研究に興味を持ってくれる事を祈るとしよう。

投稿者 Siel Dragon : 2005年01月17日 23:01