瑞穂のトランメルスカラブレイに冒険者たちを募るレンジャーの姿がありました。
こんばんわ、Siel Dragonです。
昨日から徳之諸島が騒然とし始めましたが皆さん如何お過ごしでしょうか?今宵は徳之諸島で戦いの日々を送る冒険者とは相反する生き様を続けている、とあるレンジャーの物語です。
ところで今日は建国記念日でしたが元来は四大節のひとつ「紀元節」という祝日でした。この祝日は日本書紀に基づいたもので神武天皇が宮を建てたとされている事を根拠に建国を祝う日として明治時代に制定されたのです。最近では吉野家が牛丼販売停止に踏み切った日として知られていますがね。
私はトランメルミノック近郊にあるジプシーキャンプの傍で呆けていた。今日も俗に「人狼」と呼ばれる遊戯をする為、既に幾人かの市民が椅子を並べ机を置き花々を添え、準備に勤しんでいた。私も暇な夜は共に過ごすのだが、今晩は街の方へ出かけようと思いゲートトラベルの呪文を唱えて貰った。ゲートを潜るとそこはスカラブレイの銀行近辺で数多くの冒険者が旅支度を整えては異世界へと向かって行くのが見えた。今やブリタニアの冒険者らは徳之諸島から広まり始めた難破船の噂を信じて各地を奔走しているのだ。他の省みない強硬な捜索活動は森を動物の死骸で埋め尽くす程なのだという。
銀行傍には重装備で旅立っていく冒険者とは対照的な軽装な衣服をまとった男がひとりいた。多くの冒険者は気にとめる事ない地味な装いではあったが、その男は銀行に荷物を放り込んでは旅立っていく冒険者とは違い、静かに立ち尽くしていた。私はこの地味な男が何をしているのか気になり、冒険者の群集を掻き分けて歩み寄った。

男の名はハイネス。手に持つ弓からこの街の基盤とも言える狩人のひとりなのだと判った。国政と経済の中枢とも言えるブリテインと大山脈サーペンツスパインによって分かたれた大陸西域は今も広大な森が広がりユーやスカラブレイといった町々は自然の恵みと共に暮らす民が数多く残っている地方だ。

私同様にハイネスに興味を抱いた冒険者も何人かいたようだ。ハイネスはそんな冒険者たちに相談を持ちかけてきた。

少し困ったことが起きてしまって・・・
ハイネスの依頼を快く承諾した冒険者たちは場所を移し、銀行横にあるレンジャーギルドの会議室で詳細を聞く事にした。ハイネスは椅子のひとつに腰を下ろすとゆっくりと話し始めた。

テーブル越しに話に聞き入る冒険者たち。でも私だけは腰痛を訴えて隅の椅子に座ってメモを取っていたのだがね。

僕はこの街でレンジャーの仕事をしているんだ。いつも近隣の森の巡回や動物の生態調査なんかをしているんだけど、前に森を見回りに行った時、親を亡くしたまだ幼い小熊を保護した事があるんだ。保護したといっても、成長したら森に帰すつもりでね。
ところがその世話をしていた小熊が姿を消してしまったというのだ。依頼はその小熊の行方を捜す事にあるようだ。でも、所詮は小熊でしかないのだからそうそう遠くまで行く事はできまい。となれば森や動物に習熟したレンジャーであるハイネスの方が本職とも言えるのだが、わざわざ冒険者に依頼してくるからには理由があるに違いない。

その仔にしてみたらちょっと遠くに散歩に出ただけなのかもしれない。
でもこれは良い機会なんだ。
あの仔の巣立ちにね。
ハイネスは小熊が姿を消した事で別れを覚悟したのだろう。もう二度と自分のもとへ戻ってくる事はないのだと。だからこそ冒険者たちにその巣立ちを見届けて欲しいと依頼してきたのだ。

でも僕が見に行ってしまうわけにもいかない。僕に懐いてくれてた仔だ。僕の姿を見たらこちらに帰ってきてしまうかもしれない。戻ってきちゃったらそれもまずいんだ。・・・お願いなんだけど、僕の代わりにあの仔がちゃんと森に戻れたかどうかみてきてはくれないだろうか?最近は動物を狙った山賊も増えているらしいし、もともとあの仔が住んでたあたりには危険なモンスターも多いしね。
彼はこの日の為に餌取りの訓練もしっかりとさせて来たのだというが、山賊やら危険なモンスターやらは熊では到底勝ち目がなかろう。実際にそんなに危険なのかどうか確認する必要がありそうだ。だが、捜索対象となる熊には目印になるようなものも付けていなければ、名前も付けていないらしい。

この街から南東に恐ろしいドラゴンの巣食う洞窟があるのを知っているかい?
熊の故郷はどこなのかという話に至り、突如出る不吉な場所の話。
まさかデスタードですか?!
かなり焦りつつも耳を傾けているとどうやらデスタード近辺の森、が故郷だったようだ。こっそり胸を撫で下ろす私。

あのあたりに辿り着いていれば・・・あのあたりは山肌に横穴も多いしね、無事に生きていけると思うんだ。その洞窟までの間に2体の彫像と橋がかかっている泉があるだろう?誰か行った事があるかな?最近は変わったImpがたまに現れているらしいけれど。
どうやらハイネスは巣立ちに備えてその泉までは散歩に連れて行っていたようだ。スカラブレイからだと結構な行程なんだが、レンジャーたちの調査範囲って思いのほか広いんだな。

まぁこの街から南に進んだ山にそって歩いてくれればたどり着けるだろう。ああそうだ。君たちは動物の見分けは出来ないだろうね?うんうん、でも大丈夫。出来なくても大丈夫。あの仔はかなり人間に慣れてしまっているし、リンゴが大好物だ。君たちがリンゴを優しく差し出してくれれば、きっと美味しそうに食べてしまうはずさ。あの仔の巣立ちを・・・僕の代わりに見守ってくれ。そして無事森に帰れたかどうか教えて欲しいんだ。
依頼を快諾した冒険者たちはスカラブレイから大陸へと渡り、農村地帯を抜けて南下していった。目指すはハイネスの口にしていた泉。簡単に迂回できるような小さな水場にもかかわらず、わざわざ橋がかけられているという道楽的な景勝地だ。
そこで冒険者たちは一匹の熊を目撃した。

レンジャーの素養なき冒険者たちには個々の熊の違いなんて見分けようがないが、こいつに限っては一目で行方不明になってるハイネスの熊だと判ったよ!冒険者たちは旅途中に農家でリンゴを買い込んできてたから早速餌付けを試みた。すると熊は徐々に興味を示し、冒険者たちを警戒する事もなくなってきたんだ。こうして熊が無事に野生に帰れるのを見守ろうとしていた冒険者たちだったが、熊の様子がおかしい事に気づいた。落ち着きなく辺りをキョロキョロと見回しているんだ。

徐々に泉を離れ、森の中へと歩んでいく熊。冒険者たちは熊の様子に不安を抱いた。そう言えばハイネスが動物を狙う山賊が増えてきていると言っていなかったか?敏感な熊は冒険者たちも気づかぬ森の変化をいち早く察したのかもしれない。冒険者たちは熊の周囲を注意深く観察しながら後をついてゆく事にした。

そして森の端まで歩き山裾が見えてきた頃のことだ。熊は何かの臭いを敏感に感じ取っていた。でも冒険者たちには何も臭って来ない。別に鼻詰りでもないから熊の嗅覚が凄いのだろう。それでも冒険者たちは用心を重ね、召喚呪文で精霊たちを呼び寄せながら森を抜けた。
そのとき、突然熊が低い唸り声をあげはじめたのだ。

山裾に沿って歩いていた冒険者に割り込むように突如山賊たちが姿を現していった。私も慌てて目の前に現れた山賊に魔法の力を叩き込む!虚弱体質の魔法使いを自認する私の活躍など微々たるものだったが、屈強な戦士たちは次々と山賊を薙ぎ倒していき、熊には傷ひとつ負わせることはなかった。

その後もヘッドレスやオーク族といったこの地域を生息地とする邪悪な生物との交戦を余儀なくされたが、熊は山裾にぽっかりとあいた洞窟へと入っていった。

熊はこの洞窟を気に入ったようだ。泉から洞窟までの間見守りつつも果敢に守ってくれた事に深く感謝を示していた。

そして過ごし易いよう洞窟の土を前脚で掘ってゆく。冒険者たちから与えられた林檎で腹も膨れ、春が訪れるまでこの洞窟で暮らしていくつもりなのだろう。

熊が岩陰に姿を埋めるのを確認し終えた冒険者たちは安堵した。過酷なブリタニアで生涯を平穏に暮らせる動物など数少ないだろう。それでもこの熊は今年の冬だけはゆっくりと過ごせるはずだ。自分たちの見てきた事を伝えるべく冒険者たちはスカラブレイへの帰路についたのだった。
冒険者の帰りを待っていたハイネスはすぐにレンジャーギルドの奥から顔を出した。そして熊が無事に森へ戻った事を聞くと破顔する。


そうか。無事に森に戻れたのか。よかった・・・
僕はね、思うんだ。動物が殺されるのはさ、さして珍しいことじゃない。調度品や装飾品の材料にされたり食料にされたり。それが悪いことだと言い切るつもりはないけれど・・・動物達を見て「頑張ってるんだな」って少しでも思ってくれる人が増えればいいなってね。・・・きっとあの仔はこの先もいろいろと苦労して生きていくと思うけれど、きっとそれが自然に生きるということだから。そう、例えば帽子にしてもその仔たちがかつて生きていてくれたことを忘れないでくれればそれで良いと思うんだよ。
さて、じゃあ早速見回りに行ってこようかな。また怪我をしたり困ったりしてる動物達がいると困るし、密猟者だってやめさせなくちゃね。今日は本当に本当にありがとう!
こうしてハイネスは再び森へと向かい去っていった。
ところで「密猟者」がいるという事はブリタニアでの狩りは行政府の許可制あるいは申告制なのだろうか?つまりは冒険者という存在はすべからく許可なんぞ受けてやっているわけではないのだから密猟者としての側面を有しているわけだ。
投稿者 Siel Dragon : 2005年02月11日 23:52
