2012年04月27日
不思議な花

不思議な花とは、2012年4月22日22時よりAsukaにおいて開催されたイベントモデレーター主催のイベント。冒険者たちは徳之諸島の禅都にあるさとり療養所にいる楓(Kaede)とその娘、小春(Koharu)に出会うことで小春の付き添いを買って出ることとなる。

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2012年4月22日 不思議な花

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2012年4月22日も夜が更けて22時に差し掛かろうという頃、Asukaの徳之諸島禅都にあるさとり療養所は大勢の冒険者で賑わっていた。自衛の手段に長け治療も自らでこなす冒険者にとっては療養所に立ち寄る機会など少ないだろうが、今晩は珍しいほどに大入りで身の動かしようもなく見える。また、屋外には調教されたドラゴンが群れを成して物々しい雰囲気だ。

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長らく隠遁して世間から離れて暮らしていた私は、街へ出ていきなりの喧噪に当てられてしまい、大入りにもかかわらず誰も立ち入ろうとはしない二階で休もうと階段を上がった。そこに私以外の人影が横切る。徳之諸島の民族衣装である着物に身を包んだ人物は、臆することなく喧噪の階下へと向かっていった。

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彼女の名は楓(Kaede)、どうやらこの療養所で生活することを余儀なくされている患者のひとりと見受けられるが、この療養所が実際に患者の収容能力を有していたとは意外。

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Kaede
おやおや、ちょっと失礼しますよ。

階下にいた大勢の冒険者を見ても動じることなく、楓はスルスルと店の奥へと進んでいった。

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Kaede
みなさん、こんばんは。
こんなにたくさんの方が…何かあったのですか…?
*コホコホ*

少し、前を、あけてくださるかしら。ありがとう。
私は楓(かえで)と申します。

今、娘の小春(こはる)が帰ってくるのを待っています。
あの子はとてもやんちゃで、すぐ遊びにいってしまうので、
とても心配しています…。

私は体が弱くて、あまり娘と遊ぶことができません。
*コホコホ*

早く帰ってきてくれるといいのですが…
おや、帰ってきたかしら

気づけば、店先で大らかな帰宅の声が挙がっていた。
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だが、小さな療養所に冒険者が大勢集まっていたため、その声の主の姿が見えない。それは帰宅したばかりの少女にとっても同様だったようだ。

Koharu
お母さんどこ…?

Kaede
小春、こっちよ。

Koharu
人がたくさん

Kaede
なんだか今日は、すごい人ね。
みなさん体の調子でも悪いのかしらね。

ようやく冒険者の壁を抜け、母のもとに辿り着いた少女は再び帰宅の挨拶を母に向けた。

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姿を見せた小春は、母と同じく徳之諸島の衣装に身を包んでいた、こちらは活発な少女らしいものだ。

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Kaede
小春!小春、心配したわよ。いったいどこに行ってたの?

Koharu
えへへ…今日はお母さんのために、プレゼントを持ってきたんだよ。

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Kaede
この前みたいに持ってきたら、困るわよ…

Koharu
虫…
ちがうよっ!今日ね、きれいなお花見つけたんだ!

Kaede
(よかったわ、虫じゃなくて)

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Koharu
*ピンク色の花を渡す*

Kaede
あら…とってもきれいなお花ね。どこで見つけてきたの?

Koharu
え…っ!……えっと…
ぁ…んっと……ど…動物のたくさんいるところ

Kaede
小春、またあぶないところに行ってたでしょう…?
知らないところには行ってはいけないと、何度言えば分かるの。
まったく、この子ったら…

Koharu
で…でもっ!お母さんそのお花きれいでしょう?
せっかく見つけてきたのに…ううっ

Kaede
えぇ、とってもきれいだわよ。不思議なお花ね…
見てると元気がでてくるわ。

Koharu
ほんとう!?やった!
お母さん、もっとお花持ってきたら元気になる?

Kaede
えぇ、もちろん。元気になって小春と遊びたいわ。

Koharu
!!
じゃあ、もっとお花とってくる!

落ち込みそうになった小春を慰めようとしたのだろうが、火に油を注ぐが如く我が娘があぶない場所へ行くことを勧める形になってしまった楓。内心あわてたのか、無理に話題を変えようと試みていた。

Kaede
そこの人にうつしちゃえばね。
すぐ元気になるわ。

Koharu
…お、、おかあさん、、

Kaede
冗談よ。

流石に話題を変えるには無理があった。それにしても、うつせば治るというからには楓の病はただの風邪なのだろうか。

Kaede
待ちなさい、小春。あぶないところへは行ってはいけません。
いったいどこに取りに行くの。

Koharu
ぇ……えーっと……ど……動物のたくさんいるところ……

Kaede
小春、うそをついたらいけません。
この子ったら、どうしてそんなところばかり行くのかしら…

Koharu
小春、ひとりでだいじょうぶだもん!

Kaede
動物ならそこにもいるじゃない。
心配だわ…みなさん、もしよろしければ、小春について
いってもらえませんか?
もし危ないようなことをしていたら、叱ってやってください。
よろしいかしら?

Koharu
小春もっともっと遊びたいの!

療養所に足を運んでいるからには冒険者たちも病人、ということもなくはないが、概ね集まっていた冒険者たちは小春についていくことを選んだようだ。

Kaede
助かるわ。

Koharu
むぅ〜…一人で行けるのに…
まぁいいや。それじゃあみんなと一緒に行ってきます!

Kaede
気をつけて早く帰ってくるのよ。

Koharu
はい!

Kaede
みなさんも、小春をよろしくお願いします。

Koharu
それじゃあ、みんな!小春についてきて!

Kaede
早く帰ってくるのよ。

Koharu
う…うん…早く帰ってくるよ…
虫だめなの…?

Kaede
*ニッコリ*

冒険者たちは隊長然と振舞う小春とともに旅立つこととなった。とりあえず、虫はダメ、早く帰るがスローガンだ。

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幼子のふりをしてムーンゲートを創出させた小春。あっという間に冒険者たちはムーンゲートの向こう側へと姿を消していった。

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たどり着いた先は山岳地帯の谷間だった。

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私は殿軍としてムーンゲートを潜ったせいか、目の前では既に無数の召還呪文が発せられ、谷一面に広がっていた。既に何らかの戦闘が先陣によって開始されていたようだ。殿軍とはいえ大きく間が空いていたわけでないのだが、周囲の動物という動物が狩り尽くされていた。

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Koharu
いばら…?
ここのお花はもうないみたい。枯れちゃったのかなぁ?
ほかにも、いろんな場所にお花あったから、みんなで探しにいこ!
いくつか咲いてた場所があったから、みんなで手分けして
探してもらえないかな?

小春の指示によって手分けすることになったが、どうすべきか考える間もなく、小春は新たなムーンゲートを創出させていた。

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次なる場所は洞窟内部。いよいよ不穏な空気が流れ始める。

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洞窟の奥深くを目指して歩みを進めていくと、またしても前方で戦闘が勃発していた。見ると、狭い通路内で怒り狂った橙色のドレイクが咆哮をあげていた。

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わざわざ狭い通路で待ち伏せされていたとしか思えぬ展開だが、ドレイクとの戦闘に突入した脇から新たにドラゴンまでが襲い掛かってくる。

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このような状況下でわざわざドラゴン族の待ち伏せを受けるほど恨みを買っている者も冒険者のなかにはおるまい。ドラゴン族が待ち伏せをするとすれば、頻繁にこの回廊を通っている者に対して、すなわちこの待ち伏せは冒険者たちを連れてこの地へやってきた小春に対してということにほかならない。

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次々と行く手を塞ぐドラゴンに集中砲火を浴びせ、辿り着いた最奥。そこで目にしたものはまたしてもイバラだった。

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だが、ここまで来れば進むのみ。守護者であったドラゴン族が全て駆逐されたことによって、洞窟の奥にあった壁に裂け目が生まれる。冒険者たちは裂け目の更に奥にあったムーンゲートへと進む。潜り抜けた先は、地底湖だった。

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地底湖の周りで一行は不釣り合いに明るいピンク色に花咲くオーフラーを発見。これでようやく小春とともに突き進んできた旅も終わりかと思われたが、ピンク色の花にも守護者の魔力が込められていた。

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すなわち、先ほど突破した洞窟の回廊と同じく、この地底湖でもピンク色の花を守護しているものがいるということだ。

周囲を見渡すと、先ほど相手したドラゴンに比べればひとまわり程も体躯の小さなヤングドラゴンの姿があった。

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Koharu
見たことないドラゴンさんがいる!

Tia the Young Dragon
人が多すぎて、もう!なんなのこいつら!
いつも私たちの邪魔ばかり!

Koharu
えぇ!

Tia the Young Dragon
ちょっと、ここ、あけてちょうだい!
もう!なんなの、こいつら!
あんたが、この人たち、連れてきたの?

Koharu
みんなで、おはなとりにきたの!

Tia the Young Dragon
いつも私たちの邪魔ばかり!

Koharu
えっ、どうして!?小春たちなにもしてないのに!

Tia the Young Dragon
うるさいっ!人間どもめ!
むきーーーーーーー

Koharu
きゃーっ!たすけてっ!

Tia the Young Dragon
花返せ!
*怒った*

もとより小春に対して険悪な物腰で接していたヤングドラゴンだが、遂に怒りを抑えることができなくなったか、花を返すよう叫ぶと同時に仲間を呼び出した。それはなんとヤングドラゴンが呼び出すにしては余りに巨大なドラゴン。

だが、冒険者たちも会話だけで和解できる雰囲気でないことを察していたか、動じることなくすぐさま迎撃体制を整えていた。

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Provocative Dragonなる巨大龍の攻撃は周囲の冒険者から防具を溶かし暴れ狂うが、包囲網を崩すには到底至らず集中砲火を受け続け轟沈した。

実力行使による衝突には至ったものの、ヤングドラゴンと小春は意思疎通できることが幸いして再びお互いの立場を語り始めていた。ヤングドラゴンが守護していたピンク色の花。それはドラゴン族にとって貴重なもののようだ。

Koharu
小春は…!そんなつもりじゃ!

Tia the Young Dragon
知らないわよ!この花でどれだけの仲間が救えたと思ってるの!

Koharu
きれいな花だったから、お母さんにあげたら喜ぶと思って…*ぐすっ*

Tia the Young Dragon
やっぱり人間とは仲良くなるべきじゃなかったわ…

Koharu
そ…そんな…!
お母さん体が弱くって、元気になってほしくて……その…花を…

Tia the Young Dragon
体が弱い…?

Koharu
お母さんにお花渡したら、元気が出るって言われたから…
もっとお花取って持っていったら、喜んでくれるかなって…*ぐすん*

ヤングドラゴン自身が仲間への情ゆえに怒りを露にしたように小春もまた母親への情ゆえに花を摘みに来ていたのだと知り、次第にヤングドラゴンは小春に対して心を開くようになっていった。

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Koharu
う……うぅ……ごめんなさい

Tia the Young Dragon
まぁまぁ泣かないで。悪いことしようと思って、したんじゃないんだから。
また花は植えてみるわ。

Koharu
うぅ……ほんとうにごめんなさい…

Tia the Young Dragon
いいのよ。もう泣かないで。私は人間嫌いじゃないわよ。
襲ってこなければ…
でもこの花、人間にも使えるのかしら。不思議だわ…。


Koharu
え?お花を見て、元気が出るんだよ。

Tia the Young Dragon
私たちにとっては薬草よ。これを使って傷を治したり、
元気になったりするの。

Koharu
それ、小春たちにも使える…?

Tia the Young Dragon
どうかしら…人間でも使えるといいわね。
これも何かの縁だわ、一度調合してみましょう。

Koharu
ほんとう!?ありがとうドラゴンさん!

Tia the Young Dragon
わたしの名前はティアよ。よろしくね。

Koharu
ティアさんありがとう!

Tia the Young Dragon
いえいえ。かわいい子ね。
みんながドラゴンを連れているように、人間の好きな者もいるけど、
ここも危ないから、今日はもう帰りなさい。

小春に対してすっかり心を許したヤングドラゴンのティア。しかし、お供の冒険者たちには花を植え直すようにと睨みつけていた。植え直せと言っても何かコツでもあるのなら教えてほしいところだ。

Tia the Young Dragon
私は調合をしてみるわ。

Koharu
うんっ!お母さんのために、おねがいしますっ

Tia the Young Dragon
がんばってみるわ。それでは小春ちゃん、またね。

ティアは小春と薬の調合を約束し、最後に冒険者たちへ体を向けた。

Tia the Young Dragon
みなさんも、あまり私たちを傷つけないでくださいね。
そうでないと……

冒険者たちを脅かすように言い含めると、ティアはゆらりと洞窟内を飛び去って行った。

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仲間を目の前で実際に傷つけられてたしなめる程度で済ますあたり、寛容であるという説明では不十分だろう。小春とは共感していたようだが、人間とはその価値観が全く異なるに違いない。

Koharu
お薬つくりにいってくれたみたい!
元気になってくれるといいな…えへへ
またとりにくるのかな…?
それじゃあ、お母さんにしかられる前に、おうちに戻るね!
お薬できたら、みんなで取りに来ようね!
お母さん怖いよ…*ぶるぶる*
早く帰らなくっちゃ!みなさん今日はありがとう!
それじゃあ、みんなまたねっ!

楓にしかられぬよう、よほど慌てて帰ってしまったのか、小春は共にここまで来た冒険者たちを地底湖に置いたまま、姿を消していった。

しかし、ティアの調合した薬を受け取りに小春は再びこの地底湖を訪れる腹づもりではあるだろう。そのときには、再び小春と旅をする機会に恵まれると良いのだが。

その日のうちには療養所で楓や小春と再び出会うことはなかったが、トランメル世界ニュジェルムにあるイベントモデレーターホールでは、懇談会が行われていた。

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小春役を演じていたAsuka担当イベントモデレーターのMisaki氏、そして楓役やティア役として活躍していたのであろうHokuto 担当イベントモデレーターのRiccia氏が壇上で挨拶を交わしていた。

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今回のライブイベントは、当初計画では1時間半程度を見込んでいたらしいのだが、数多くの冒険者が参戦したことにより大幅に短縮され、結果として45分間程度で終えてしまったようだ。今後は参加人数に応じて難度設定を調整していく必要があるとMisaki氏は語っていた。

また、次週はSakuraにて日本地域初となるプレイヤー投稿シナリオを用いたイベントモデレーターイベントとなることを告知していた。

別れ際にイルカへ変身した Misaki 氏
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姿を消そうとしてただ燃えただけの失敗 Misaki 氏
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なお,今回のイベントにおける戦闘で入手できたDragon's Secret Flowerは,後日リワードホールに飾られていた。

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2012年4月19日 不思議な花

飛鳥EMサイトにおいて新たな物語が掲載された。この物語にあわせ、2012年4月22日22時よりAsukaの徳之諸島禅都にあるさとり療養所(34o 38N, 38o 6W)において進展があるようだ。

「あれ・・・ここどこだろう・・・・・*きょろきょろ*」

小春(こはる)は、とっても活発な女の子。動物を追いかけていたら、ダンジョンの奥に迷い込んだようだった。

「来たことのないところみたいだけど・・・・・わぁ・・・キレイなお花!」

ふと目をやると、そこにはピンク色のキレイな花。小春は目をキラキラ輝かせた。
花を見つけた小春は一つ一つ丁寧に摘み始めた。

「このお花を見たら、お母さんも元気になってくれるかなぁ?」

小春の母である楓(かえで)は、体が弱く、あまり外出することが出来なかった。
母と遊べずに寂しい思いをする小春だが、母を心配させまいと、いつも明るく振舞っていた。
彼女は、母が少しでも元気になってもらえるようにと、手一杯に花を抱えた。

「えへへ・・・お母さんに見てもらって元気になってもらお!」

小春は花を抱えながら、母のいる療養所へ向かった。


投稿者 Siel Dragon : 2012年04月27日 23:11